【レポート】墨東まち見世編集塾第1回:アートプロジェクトを”伝える”ツールとは

墨東まち見世編集塾 公開レクチャー+トーク
第1回「アートプロジェクトを”伝える”ツールとは」
日時:2012年8月4日(土)14:00-16:30
① レクチャー「アートプロジェクトの広報ツール事例集」
② トーク「墨東まち見世のデザインプロセス」
 今年のまち見世の中で新たな取り組みのひとつである「墨東まち見世編集塾」。第1回目となる公開レクチャー+トークが先日行われ、暑い中、15名ほどの方にご参加頂きました。
DSCF3066s.jpg
 はじめに、墨東まち見世の概要や、編集部および編集塾を立ち上げた経緯が編集部長の橋本誠さんから説明されました。ドキュメント制作の要となる編集部には、プロのデザイナーだけでなく普段から墨東に関わっている人にも参加してほしいそうです。また、説明の中で「部員募集には単純に人手が欲しいという意図もあります」という橋本さんの本音も聞こえてきましたが、いわば墨東まち見世初心者でありながら編集部に飛び込んでしまった私にとって、この本音には少しホッとしました。
 レクチャー「アートプロジェクトの広報ツール事例集」では、アートプロデューサーとして様々な例を知る橋本さんが見てきた、様々な「よくできている」広報ツールがとりあげられました。まず、アートプロジェクトの特性を整理してみると、「会場がエリア内に点在している」「通年的に活動している場合がある」などの特性が挙げられます。そこから、アートプロジェクトの広報ツールの特性を整理してみると、「マップの活用・サインとの連携」「地域向けのツールなど制作物が多数ある」などがありました。広報ツールの事例紹介に移ると、橋本さんの収集した膨大な広報ツールを閲覧しつつ、スライドを見つつ、また違う資料が回って来てはそれを見て…アートプロジェクトに関する制作物の多さに呆然としてしまいました。中でも私が面白いと感じたのは「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」で十日町市の観光部局が作った「現地おもてなしガイド」です。これは、芸術祭の作品情報だけでなく、「ここでお茶をふるまっています」「きゅうりが食べられます」といった地域の人の歓迎の気持ちでいっぱいのガイドマップで、見ていると芸術祭で色んな人が見に来てくれることへの喜びと地元の人の盛り上がりようが伝わってきます。
USTREAMアーカイブ

Live video for mobile from Ustream
 後半は、デザイナーの森垣賢さんから墨東まち見世のデザインプロセスというテーマで、墨東まち見世で使われたポスター、パンフレット、フライヤー、まちみてマップなどの広報物をデザインする上で意識したことやこだわりについて大いに語って頂きました。墨東まち見世のロゴマークのデザインプロセスを例に挙げると、イメージマップで「庶民的で若干大規模」という墨東まち見世へのイメージを固め、デザインについて「大人な印象で直線的」というデザインにしようと決めてからロゴマークのデザインに移り、線の太さや色の検討など、固めたイメージを基にさらに細かくデザインしていったそうです。墨東まち見世に関する膨大な広報物のデザインは、森垣さんのデザインする上での細かいこだわりと、予算や時間など様々な制限とのせめぎ合いの中で生み出されていました。途中、森垣さんのリサーチに基づいた「今かなりキてるフォント」のお話しが個人的にすごく面白く、時間があれば聞いていたかったです。予算などの制限があっても、その条件のなかで最高のデザインを考えようという森垣さんの情熱を感じられたトークでした。
編集部員:高橋

【告知】墨東まち見世編集塾第2回「墨東について知る」9/1開催!

墨東エリアとアートの関わりの歴史を学び、編集力を身につける
「墨東まち見世編集塾」
第2回公開レクチャー+トーク

bokuhen2012_color.jpg

墨東エリアで向島学会が活動をはじめて10年が経ち、このエリアを舞台にしたアートプロジェクト「墨東まち見世」が4年目を迎え、東京スカイツリーが開業した2012年。この節目の年に、「墨東まち見世」および墨東エリアの歴史を振り返りながら、改めてその魅力を再編集し、伝える広報ツールやドキュメントの制作プロジェクトが始動しています。
公開レクチャー+トークを挟みつつ、実際の編集作業にご興味のある方には「編集部員」としても関わっていただきます。墨東エリアへのそれぞれの眼差しと、アートプロジェクトの編集力を身につけていただく本プログラム。墨東エリアに興味のある方、アートプロジェクトの編集に興味のある方のご参加をお待ちしています!
公開レクチャー+トーク

第2回「墨東について知る」

墨東まち見世に限らず、これまでに墨東エリアで実施されて来たアートプログラムのドキュメントや、地域の活動に関する代表的な資料の内容と位置づけについて知ると共に、墨東まち見世2012の最新動向について関係者の声を聞くことで墨東についての理解を深めます。
①過去の資料を読み解く:曽我高明、真野洋介(向島学会)
②墨東まち見世の現在地:ちっち+木村健世と墨東文庫編集室、「どこにいるかわからない」展実行委員(墨東まち見世2012特別企画参加者)、墨東まち見世事務局ほか
[日時] 平成24年9月1日(土)14:00-17:00
[会場] 墨東まち見世案内所(東京都墨田区京島3-21-9[キラキラ橘商店街 交番斜め前])
[参加費] 1,000円(編集部に加入いただいた方は無料)
[企画運営] 墨東まち見世編集部、特定非営利活動法人向島学会「墨東まち見世部会」
[申し込み方法] ウェブフォームよりご連絡ください。編集部加入にご興味のある方は、その旨を合わせてお伝えください。折り返し参加条件のご案内をいたします。
曽我高明(向島学会、現代美術製作所ディレクター)
soga.jpg
1958年東京生まれ。早稲田大学文学研究科修士課程修了。97年に墨田区の向島エリアで、家業であったゴム工場の古い建物を改装、オルタナティブ・スペースとして再生し、現代美術製作所をオープン。国内外のアーティストの企画展を開催するかたわら、アートを活かしたまちづくりにも取り組んでいる。特定非営利活動法人 向島学会 副理事。2009年より「墨東まち見世」事務局に関わる。
真野洋介(向島学会、東京工業大学社会理工学研究科准教授)
mano_w100.jpg
1971年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院博士課程修了。
2001年向島博覧会から向島の活動に関わるようになり、これまで「吾嬬・寺島長屋博覧/RICE+(2003)」「鳩の街プロジェクト(2004)」「向島アートまち大学(2005-2008)」などに参画。東日本大震災以後、宮城県石巻市で「ISHINOMAKI2.0」などの活動を行っている。墨東まち見世(2009-)では、会計報告、書類作成などを担当。
「ちっち+木村健世と墨東文庫編集室
chichi.jpg
公募によりメンバーを集めた「墨東文庫編集室」によってワークショップを重ねながら発行された「墨東文庫・鳩の街編」。その「墨東文庫」に収録されている物語を「紙芝居屋ちっち」とともに紙芝居貸し、街頭での口演を行います。紙芝居化にあたっても製作メンバーを募り、ワークショップ形式で行います。まちに「文庫」として眠っていた物語が「街頭紙芝居」として生まれ変わり、上演はどのような街の空気を作りだすでしょうか?
「どこにいるかわからない」展実行委員(下平千夏、大橋加誉)
P1050235_w90.jpg
2009年より、八広にあるSOURCE Factoryを拠点として数々の作品を制作、発表している現代アーティストの下平千夏と、墨東まち見世2009にサポーターとして関わったことを契機に2010年には事務局を務め、その後も個人で活動を続けている大橋加誉により運営される。「どこにいるかわからない」展は、約8組の若手アーティストを招聘し、現代美術製作所とSOURCE Factoryを結ぶ道中に作品を展示していく展覧会である。
橋本誠(墨東まち見世編集部長、アートプロデューサー)
hashimoto.jpg 
1981年生まれ。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。2005年よりフリーで活動をはじめ、2009年より東京文化発信プロジェクト室プログラムオフィサー。2012年より再びフリー。KOTOBUKIクリエイティブアクション(横浜・寿町/2008~)などアートプロジェクトの企画制作やアート関連制作物の企画編集を手がけている。
▼以降の予定▼
—————————–
第3回「ドキュメントブックをつくる1」
日時:9月30日(日)14:00-17:00
ゲスト:内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)、齋藤歩(編集者)
複数のアートプロジェクトのドキュメント例を参考にしながら、その中に必要とされる要素について、またその制作のためにどのような準備が必要なのかを理解します。また電子書籍化の可能性や流通など、ドキュメントのあるべき姿について考えます。
①レクチャー「アートプロジェクトのドキュメントを読み解く」
②トーク「読み物としての価値と活用方法を考える」
—————————–
第4回「ドキュメントブックをつくる2」
時期:11月下旬 ※予定
ゲスト:友川綾子(編集・アートライター)
墨東まち見世メイン会期中に集められた素材を例に、テキストのライティングや編集進行についてのノウハウを学びます。また、具体的な仕様についてデザイナーも交えて考えます。
①レクチャー「テキスト編集を行う/文字校正・色校正を行う」
②トーク「仕様を考える」
—————————–
お問い合わせ
Mail:bokuhen2012@gmail.com(墨東まち見世編集部)
Mobile:080-5046-2612(橋本)
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人向島学会
後援:墨田区、一般社団法人墨田区観光協会、財団法人墨田まちづくり公社
協力:アサヒビール株式会社